平成24年12月6日 総務常任委員会
◆委員(大川裕君) それではまず、二つ質問させていただきます。
委員会資料の42ページの第2条、1として「ホテル及びホテル関連施設としてのみ使用するものとする。ただし、甲が事前に承認した場合はこの限りではない」と、そこには書いてあるんですけれども、どのようなケースを想定されてこの条文があるのか、お聞きをいたします。
2点目として、議案関連質問で、井上議員が確認したところ、タイムシェア・プログラムについては、日本では、いまだ仕組みが確立されていないという御答弁だったと思います。そこで、タイムシェア・プログラムと同一の事業をヒルトンが小田原市に承認を求めた場合、「不合理に拒絶しない」との条文がそこには書いてあるんですけれども、事業内容が決定していないタイムシェア・プログラムを拒絶しないとの条文を入れた理由と、それから、将来訴訟となる可能性を確認させていただければと思います。
◎企画部副部長(杉崎俊徳君) 1点目、もう一度お願いできますでしょうか、申しわけございません。
◆委員(大川裕君) 1点目は、第2条の1として「ホテル及びホテル関連施設としてのみ使用するものとする。ただし、甲が事前に承認した場合はこの限りではない」とありますが、どのようなケースを想定してこの条文があるのか。
◎企画部副部長(杉崎俊徳君) まず1点目の第2条の第1項、「甲が事前に承認した場合はこの限りではない」というところでございますけれども、今現在の中で、こういうものが想定されるかという部分では、まだはっきりしたものが想定はされてない部分でございます。使用に関しまして、何かホテル本来の目的のために行うことが適当だというものができたときに、こういうことができるというふうなことを入れたものでございますので、今、ヒルトンと市の間でもって具体的にこういうものがあるので、事前に承認するものができるということを、裏にあってから書いているものではございません。
それから、2点目のタイムシェア・プログラムの関係でございます。タイムシェア・プログラムの関係につきましては、本会議の質疑でもございましたように、ヒルトンアメリカの中でもって一定の期間を、一定の方々に権利をお渡しして、区分所有のような形でもってホテルの部屋をやっていただくというようなことでございます。その仕組みにつきましては、アメリカでもやはり所有権というものがかかわってきますので、それを日本に持ってきた場合、特に所有権が移転するまでの3年間、市が持っている部分については、これはもちろんできない部分でございますが、その後、所有権がヒルトンに移行した以降につきましては、基本的にはヒルトンができるということになりますが、転売禁止の2年間につきましては、そこの部分を私どもの方は、しっかり見ておかなければいけないと考えているところでございます。
そして、不合理に拒絶できないという部分でございますけれども、この文言の意味合いでございますが、ヒルトン側としますと、感情的な部分で、これは極端な言い方ですけれども、市は嫌だから嫌だとか、また、タイムシェア・プログラムを行いますと、海外からのお客様が多く見えることになる部分が考えられます。そういったときに、海外のお客様が見えると治安上不安になるから嫌だとかというような、ある意味へ理屈的な感じで拒絶されては困るということなので、「不合理に拒絶をしない」という文言を入れてほしいという要請がございました。私ども弁護士の方と確認をいたしましたところ、例えば、先日来、議論になりました都市計画法上の問題とか、あの土地だからこそさまざまな権利関係がございます。こういったものをきちんと考えた上でもって、法令等とかそういったものに抵触する場合には、合理的に拒絶できるというふうに認識しておりますので、そこの部分はしっかり置いた上でもって、こういうふうな設定にさせていただいているところでございます。
私からは、以上でございます。
◆委員(大川裕君) 将来、その点について訴訟になる可能性というのは、市として把握されているんですか。そのタイムシェア・プログラムについて、訴訟になる可能性は。
◎企画部副部長(杉崎俊徳君) 訴訟というときに、この契約に基づいて小田原市が合理的ではないからと拒絶した場合に、ヒルトンから「それはおかしいでしょう」ということで市が訴訟されると、そういう意味合いでよろしゅうございますか。(「はい」と呼ぶ者あり)
契約の部分でございますから、ここに限らず、小田原市とヒルトンの間で係争がかかわった場合には、訴訟というふうなことは十分にあるかと思います。もちろんその前に、甲乙協議で話し合うというふうなことがありますので、話し合っていく部分がありますけれども、この条文に限らず、例えば逆の意味で、ヒルトン側の方が「おかしいんじゃないの」という、市がやった場合にヒルトンがおかしくないといえば、やはり、そういうふうな話が出てきますし、究極の形としては、やはり訴訟というものは、どうしてもにらまざるを得ないかなというふうには考えております。
◎企画部長(時田光章君) もう少し付言をしたいと思いますけれども、タイムシェア・プログラムそのものにつきましては、今、ヒルトン社の方でこういう形というものを、具体的なものは持ち合わせておりません。ただ、全世界で展開しているそういうモデルがあるので、今後、日本法に合うように弁護士等と詰めて、そのタイムシェア・プログラムを取り入れるようにしたいということでございまして、これには相当な準備が必要だというふうにヒルトン側は言っておりまして、約3年はかかるのではないかと、先方は想定しているところでございます。
◆委員(大川裕君) ハワイとかああいうところで、バケーションクラブとかいって、部屋を切り売りしている、それが固定資産税とか絡んでくる話だと思うので、そこら辺の精査はしておいていただければと思います。
次に、確認ですけれど、先ほど植田委員も言われたんですが、土地と建物の分離を最初から考えていなかったというのは、これはかなり問題だと思うのです。というのは、今、この日本という国が置かれている現状を考えると、23万平米という地所を海外のファンドみたいなところに売ってしまうというのは、5年ぐらいで契約内容が切れてしまうということを考え合わせると、とても危険だというふうに私は思うのですけれども、そこら辺をどうして最初から考えてなかったといういきさつになったんだかというのも教えていただきたいのが1点、それからまず、土地、建物を含めて評価額121億円ですけれども、そこで、将来的に固定資産税1億9000万円というふうな計算をされていると思いますが、売買価格が9億円ということであれば、将来的に1.4%、例えば、1700万円ぐらいですか、そのぐらいに固定資産税が落ちてしまうという可能性も否定はできないと思うのですが、そこら辺をどのように市として対応されているのかお聞きします。
◎企画部副部長(杉崎俊徳君) 1点目でございます。土地と建物の考え方でございますけれども、先ほどもお話ししましたように、私どもとしましては、今回のヒルトンの売却に当たりましては、あの施設を市としては、やはり将来的に持つリスク等を含めた形でもって適正な形で売却をしたいという、こういうような考えがございました。ヒルトンは、それを一体的に受けた形で、それを効率的に使って、あの施設を購入させていきたいという、それぞれの思いのプラスの部分が今回の形になっているというふうには思ってございます。ヒルトン側も、先日、議員説明会で、最高責任者がおっしゃっていましたけれども、あの施設を今後ヒルトンが投資をすることによって、世界的なリゾートホテルに育て上げるんだと、そのときには、あのロケーションである土地も含めたものが、あのホテルにとっての魅力であると明言されてございます。したがいまして、建物だけではなく、土地を持つことによって、自分たちの中でのその権利の中で、しっかりやっていくという部分を、ヒルトンは最初から思い、動いている部分がございます。市としましても、土地だけを切り離す部分になりますと、やはり、23万平米という土地は広うございます。今までのこの約8年から9年の経営を行っている市がいただいた中では、特に大きな自然災害等、直接的にあの施設にかかる自然災害等はございませんでしたので、あの土地にまつわる、いわゆる市の方に何か問題があったというふうなことは起きてはございませんが、さまざまなことを考えますと、今後、将来的にわたって、それが補償される担保はもちろんございません。そうしますと、あの23万平米という土地を管理することについては、かなりいろんなさまざまな経費ももちろんそうでしょうし、リスクも抱えながら行うというふうな部分がございます。
それから、これは法律家の方に話を聞いておるんですけれども、土地等を持つということが、今回の売買においてどれほど優性があるかという話の中の部分でも、今言ったように、市が土地を持ってしまえば、そこに乗っている建物についてのさまざまな部分を、市はずっと注視をしなければいけない、そういう義務も負うわけですよという御助言もいただいたところでございます。したがいまして、そういうふうなさまざまな要素を踏まえて、今回は市としましては、土地・建物を一体的に、ヒルトンもその思いでもってこの売買契約が、今ここに来ているというところでございます。
それから、ファンドの話が少しございました。先ほどもブラック・ストーンという話がございます。確かに、ヒルトン・インターナショナル、ヒルトン・ワールドワイドは、ブラック・ストーンという投資会社が投資をした形でもって、そのものを所有してございます。ただ、ブラック・ストーン自体も全世界から資金を多分集めていらっしゃる、詳しいことはわからないんですが、集めていて、それを投資家の方に還元しなければいけませんので、優良なそういう企業体を自分の手元に置いて、そこからいい形でもって資金を集めて還元していくという形に、きっとなっているんだろうと思っております。そうしますと、そういう意味でいいますと、ヒルトン・ワールドワイドという大きな組織体については、優良な企業体であるという認識がされておりますし、また、そういうふうな実績のもと、全世界でヒルトンは展開しているという思いでございます。またさらに、今回のこの小田原の物件の関係ですが、基本的にヒルトン・インターナショナルというか、ヒルトン・ワールドワイド全体をどうするかという部分では、ブラック・ストーンがかかわっていることはあろうかと思いますが、その場合には、ブラック・ストーンは、ヒルトンを今度は別のファンド会社に数兆円で売るとかという、そういう世界の話になってくるだろうというふうに認識しております。そして、ヒルトンはヒルトンの中で、自分たちで資金調達をしてヒルトンなりのファンドを持って、さまざまな事業を行っていくという権限は、ブラック・スートンとの間では行っているというふうには側聞してございます。今回の案件につきましては、まさしくブラック・ストーンが直接どうこうということは全くなく、ヒルトン自身が自分の案件として、この小田原に投資をしていってやっていきたいという思いがあるということは、ヒルトン側からも聞いているところでございます。
それから、2点目の部分でございますが、固定資産税の関係について、将来的には1億9000万円ほどの固定資産税、これは今仮に1億9000万円と置かせていただいておりますが、先日、本会議でも御答弁しましたように、スパウザがあった当時のものを推計して、今、固定資産税の評価額がどうなるかというふうなことで類推をしてございます。それが平成23年度までは131億円でございました。それが平成24年度以降については、先日の本会議でも答弁いたしましたが、118億円という評価額でございましたから、そういう数字があるというふうなことは、本会議でも御答弁差し上げたところでございますが、通常これに1.4%の固定資産税になりますが、今の委員のお話は、9億円が売買価格なので、その1.4%に減ってしまうのではないかというふうなお話だったというふうに思いますが、税当局のお話を確認しましたところ、これは税法に基づいて行っている部分でございますので、売買価格がそのまま適応されていって1.4%ということではなく、やはり国の基準に基づいた評価額というもの、これに基づいて行うというふうなことを聞いてはございます。
以上でございます。
◆委員(大川裕君) 先ほど、訴訟の可能性もあるという答弁だったと思うのです。訴訟は、市民にとって大きなリスクとなると思うのです。そういった場合、タイムシェア・プログラムの言葉を契約書から外すということを考えてられるのか、お聞きします。
◎企画部副部長(杉崎俊徳君) 先ほどの訴訟の話については、この項目で委員の方から御質問がありましたので、この項目の一つとしてお答えしましたが、私のお答えしたかった趣旨は、この項目に限らず、ヒルトンとそれから市の間でもって、さまざまな権利義務関係をこの契約の中で定めておりますので、そういったところでそれぞれの権利義務関係がぶつかり合った場合には、究極の場合には訴訟ということになるだろうというふうなことを申したところでございます。
タイムシェア・プログラムにつきましては、これがその訴訟の対象になるような具体的なアイテムかという部分について、まだこれからの部分で、先ほど部長が御説明しましたように、ヒルトン側も、日本の国内法に適した形でもってできることをじっくり考えたいというふうにお話ししてございます。ですから、その部分につきまして、この言葉自体が訴訟の危険性をはらんだ言葉ではないと私どもは認識しておりますので、この契約の中から、この言葉を外すということは考えてはございません。
以上でございます。
◆委員(大川裕君) ファンドが後ろについているということは、お金ですべて動く団体なので、このまちの土地がどうなろうと関係ないという、極端なことをいえば、そういった団体だと思うのです。ここの指定用途に「できる限り尊重する」と書いてある、ここに抜け道があって、「できる限り」という言葉がすべて物語っていると思うのだけれど、5年間は何とかもって、その後どうしようと、おれたちの勝手だよと、できる限りだからいいだろうと、できる限り売ったからといって、それで終わりになっちゃう可能性は絶対にあると思うのです。先ほど言われたように、将来的に担保できるものがここに盛り込まれないと危険じゃないかと思うのですが、そこの辺はどうでしょうか。
◎企画部長(時田光章君) ただいまの大川委員の御質問でございますけれども、それを突き詰めていきますと、小田原市が未来永劫にこれを持っていないと、その心配は払拭できないということになります。我々といたしましては、長期にわたって安定的にあの施設をリゾートホテルとして経営していってくれるのは、現時点でヒルトン社以上のものがあらわれるということは、想定していないんです。これはデロイト・トーマツの報告書の中にもありましたけれども、ホテル事業法人が入札に参加してくる可能性は少ないというところがあると思いますけれども、文言上は、ああいうふうに書いてありますけれども、我々が彼らといろいろな話をしている中では、ほとんど可能性はないといっていいのではないでしょうかといったようなこともいただいております。ですから、将来的に、今のヒルトン小田原株式会社よりももっと強固な経営基盤を持ったヒルトン・ワールドワイド、ヒルトングループですよね、それが小田原市に進出してくるというふうに理解をした方がいいんではないかというふうに思っております。企業誘致的に考えれば、世界レベルのホテルにして、あそこでもっと売り上げを伸ばし、雇用も生むんだという、それで小田原市のために貢献したいというふうにきちんと表明している企業が来るということになりますから、我々はその地域の振興でありますとか、まちづくりといった面で、その言葉をきちんと受けとめて、今回の売却をしたいということでございます。
◆委員(大川裕君) ちょっとグレー的なあれなんですけれども、できる限り、本当は土地を売らない方がいいのかなというふうに私自身は思っているんですけれども、将来的なことを考えて、本当にこの契約自体を精査した中で、市として動いていっていただければというふうに思います。よろしくお願いします。
◆委員(大川裕君) 地域主権、地方分権については、基本的に行政のスリム化を図ることということが大前提であるわけですから、こういった方向で動くことは世の流れだと思いますし、行政の効率のいい運営を図る上では、こういった出先機関を設けることよりも組織のスリム化を図ることが優先だと思いますので、不採択でお願いいたします。
◆委員(大川裕君) もともとの条件つき売却というものが、もともとのスタートのときから考えられたものではないというふうに、先ほどの委員会の中で言われた以上、最初に組み上げたものが違うわけで、そういった観点から考えると、ここまで持ってきたということはしようがないというふうに、私は思います。
いずれにいたしましても、先々これから、市民に対してもっと説明責任というのは出てくると思いますので、そういったことも踏まえながらぜひ頑張っていただければというふうに思いますが、不採択でお願いします。
◆委員(大川裕君) 今、加藤委員からもお話があったとおり、隣国が原発推進でかじを切っているということであれば、隣国にもそういったことを求めていくのが筋だと思うし、現時点でそういった整合性はとられていないというふうに思います。そういった意味合いも含めて、不採択。