平成26年 3月 建設経済常任委員会 - 03月20日-01号
◆副委員長(大川裕君) それでは2点ほどお伺いいたします。
私も相続のど真ん中で、今一生懸命やっているところですが、農家の後継者の話がいろいろと出ていましたが、例えばJAのほうで後継者がある農家の割合とか、そういうのは把握されていられるのかが1点。
それから、市のほうで既存宅地制度が廃止になって優良田園住宅型制度になるという説明会を何回もやっておりますけれども、そもそも農家自体がこの制度を本当に知っているのかどうか。そこをちょっとお伺いさせていただけますか。
◎常務理事総務管理担当(安藤俊之君) まず1点目でございますが、後継者という定義ですね。家を継ぐという後継者は9割方が正規組合員の農家の方となっております。しかしながら、農業を継ぐということについては極めて低いと。それは8割方が兼業農家でございますので、今の農家の従事者が70歳から80歳でございます。この方々の次の世代といいますか、40歳代の方々で、この方々があと10年たったときに、家は継ぐけれども、農業を継ぐということは非常に厳しいというふうに私どもは認識をしておりまして、その問題はまた別の問題として。そういった次世代に対する農業支援というものをしっかりやっていくということを今考えております。
それから、二つ目でございますが、これも難しいところがあるのですけれども、JAの立場からいきますと、既存宅地制度というものが、何回も申しますように、個別の制度ということを考えた場合、なくなることについては、現在、平成22年から平成26年までですか、私どものJAの支店を御利用いただきまして説明会を開いてきておりますから、相当周知はされているというふうに思っております。しかしながら、個々の農家が正しい認識をしているかということに関しますと、よくわかっていないのかなと。説明会は確かにJAの支店を使っていただきまして、平成22年から平成24年、また既存宅地制度廃止が延長されてから2年間相当やってきました。私どもはすべてに立ち会ってはいませんが、果たして農家の方が本当にこのことについて詳しく理解をしているかというのは少し疑問点が残るように思っております。それは先ほど申しました、実際にその方が個別の事案に当たって初めていろいろと心配事があるというのが実態だろうというふうに考えております。
◎政策推進委員長(鈴木達之君) 神奈川県宅地建物取引業協会小田原支部の、行政との窓口の政策推進委員会の委員長をしております鈴木と申します。
本日は、都市計画審議委員の当協会の相談役でございます伊藤実男さんと一緒に出席をさせていただきました。
冒頭、このような機会を設けていただいたことにまず感謝申し上げたいというふうに思います。
今、委員長から3点の御質問がございました。私のほうから、1番目それから3番目、既存宅地制度についてどう考えているかということと、既存宅地制度が廃止された場合のデメリットということについて御答弁させていただきます。
2番の、市に対して望むことと、優良田園住宅型制度の今後ということにつきましては、伊藤相談役のほうから御回答させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、質問の趣旨とちょっと異なりますけれども、ここで1点、先に申し述べさせていただきたいことがございます。
それは既存宅地制度について、かれこれ4年前から本協会において取り上げさせていただいた中で、この問題が本協会のために、業者のために、こういう既存宅地地制度の延長を望んでいるというような声が漏れ伝わってきておりますが、決してそのようなことはないということだけ、まずは明言させていただきたいというふうに思います。
それは、一つは、既存宅地制度で飯を食っている不動産業者というのは、それは事案がくれば当然扱うのは不動産業界ということに、本協会ということになりますけれども、そこで飯を食っている不動産業者というのはほとんどいないということ。実際に、私も伊藤さんも、既存宅地を扱った事案というのは4年間かかわっていて一件もないという、この事実ですね。
それともう一つは、既存宅地を扱って市街化調整区域を扱うことによって、調整宅地ですから値段が安いですよね。扱う金額が安いではないですか。市街地の金額がそっちに引っ張られて金額が下がっていって、本協会としては、業者としての立場としては、既存宅地制度がないほうがいいのではないかというぐらいの話なのです。そういった中で、既存宅地制度を我々が扱うということの意味をぜひ知っていただきたいというのが、まず冒頭の話でございます。済みません、質問とそれたお話でございますけれども、申しわけありません。一つお話をさせていただきたいと思います。
まず、既存宅地制度についてどう考えているかということでございますけれども、では、既存宅地制度というものを、なぜ私たちが扱っているかというと、これはあくまで農家を守るための制度だということで、これの問題を扱っているということをまず御認識をいただきたいということでございます。
先ほどJAの安藤常務理事からのお話にもございましたとおり、非常に高齢化そして後継者不足というものが進んでおります。その現状の中で、実際には、小田原市の中で農業だけで食べていけている農家の方がどれだけいるかということを考えたときに、それだけではもう生活できていないというのが現実的な問題としてあるということが一つございます。そこで、この既存宅地制度を利用して、例えば貸し家を建てたりして、そこでの副収入を得ながら生活基盤を安定させる、それが農業を続けていく、結果として農地を守っていくという形になっているということも事実としてあるということです。まず1点目。
そして2点目でございますけれども、これは先ほど植田委員のほうから御質問がございました。相続の話でございます。農家において相続が発生した際には、相続税を支払うため、先ほどあったように、既存宅地は宅地並み課税でございますので、母屋を持った農家は非常に莫大な金額の相続税が発生しますので、それを支払うため、やむを得ず母屋の庭先、庭先分譲という言い方をしますけれども、これを分割して、本当に最小限、二、三宅地を売却することによって、その現金を捻出するということが、本協会の中でも数多く業務としてあるということは事実でございます。この制度が廃止となった場合には敷地分割が全くできなくなりますので、そうすると、相続税を支払うために敷地全体を売却をしてその費用を捻出しなければいけないという、こういう厳しい事実があるということですね。そうすると、もう農地そのものも守れなくなってしまうということでございます。
しかし、残念ながら、この事実、現在の既存宅地制度が廃止されると、そういうことが起こるということを認識されている農家の方というのはどれだけいるのかという話になると、やはり対岸の火事で、ほとんど御認識がない。実際に相続が発生したり、もう少しでおやじがやばいというときに、今はいいですよ、今はいいですけど、既存宅地でそれができなくなったときには、もうそれは活用ができないから、土地を現金化することはだめだよという話になってしまって、そこで初めて途方に暮れるということなのです。もう現実として目の前に見えているということでございます。そうした状況にならないためにも本制度と、もしくはこれに準ずる制度というのは必要ではないかなというふうに考えております。
非常に勘違いがあるのは、既存宅地制度というのは、その名のとおり既存の宅地なのですよね。これは農地ではないのです。もともと宅地である。それは都市計画法の形、都市計画法が昭和46年で、実際に既存宅地制度というのは施行されたのは昭和49年ですけれども、そのときにもう宅地であるということで昭和45年以前に宅地だったというところを活用していこうということであって、これは農地を削るとかということではないので、全くそこには影響しない。一部の指摘である乱開発ということには全くつながらないというふうなことでございます。
それと、既存宅地制度というのは、本制度が施行されて四十有余年にわたって宅地並み課税をずっと課せられているわけですね。これは基本的には、宅地として土地活用が図れるということが前提になっている。確かに建てかえとかはできるという話にはなっていますけれども、そこの事実上の活用ができないということに対して、ではこの税金であったりとか、ここの土地を担保として融資を受けている、土地活用ができるということを前提にして融資を受けている農家に対して、市は一体どういう面倒を見てあげられるのかということも問題としてございます。
そして神奈川県下において、先ほどJAの安藤常務理事のお話ですと御認識がちょっと誤っているのかなということでお話をさせていただきたいのですが、神奈川県内においては、平成12年に既存宅地制度の廃止というのが国のほうで決定して、それを各自治体の実態にあわせて、それをどうにかしなさいというような指導の中で、実際に本制度の廃止ということに踏み切っている自治体というのは、相模原市と小田原市の2自治体だけということです。ほかは何らかの形で既存宅地制度が存続しているという、これが実態なのですね。しかしながら、相模原市の場合には、市街化調整区域率が40%以下、市街化率が60%以上、小田原市の場合は、市街化調整区域率が御承知のとおり75%を超えているということで、この既存宅地制度の影響を受ける範囲というのが全く雲泥の差があるということでございますので、小田原市の実態に即した場合には、そういった問題も踏まえて既存宅地制度、もしくはこれに準ずる制度というのが存続していくことが必要ではないかということで、私の回答とさせていただきます。
ありがとうございました。
◎相談役(伊藤実男君) 2番目の、市に対してどのような対応を望んでいるかということについてお話しさせていただきます。
まず1点、第一希望、現在の既存宅地制度を存続させていただきたい。これが第一希望でございます。
もう1点は、優良田園住宅型につきまして、これは優良田園住宅型というような表現なのですけれども、この制度そのものが、現時点においては極めて現実性、運用性において大変問題があるものですから、これをもう一度原点に立ち返って新しい制度をつくっていただくようにお願いしたい。
この二つでございます。それについて何か御質問があれば。
◎相談役(伊藤実男君) 4番目の質問ということでですね。
優良田園住宅というのは一番大変聞こえのいい活字なのですね。これを小田原市で採用したのがちょうど平成19年11月、このパンフレットは恐らく皆さん御存じだろうと思うのですね。開いてまいりますと、この中に基本的な考え方というのが出ているわけですけれども、もともと優良田園住宅の建設の推進に関する法律といういわゆる国の法律ですよね。これが実際に何が一番基本のものかといいますと、第1条、第2条、第3条と三つしか掲げられていないのです。
その一つが、まず規模が1区画300平米以上、第2点の第2条、建ぺい率、容積率、建ぺい30%、容積率が50%、そして3点目の第3条、高さ制限が3階建てまでと。こういう表現なのですね。法律より下については、全く国のほうではいろいろな制度が政令化されていないのですね。これを小田原市が採用して、いろいろな条例のもとにいろいろな諸条件をつけてきたと。これが先ほど申し上げたように、新しい条例にもう一度全部書きかえるなり何かをしないと、実際今全く使えない状況であるという現実を御理解いただきたいと思うのです。
この三つの条件以外に、例えば相模原市とか、神奈川県では今運用されているということなのですけれども、先ほど鈴木政策推進委員長のほうから御説明したように、小田原市と相模原市とでは地域の特性、実情が全く違っておりますので比較しようがないのですね。ですから、小田原市の場合には、この条例の問題なのですけれども、例えば具体的にいいますと、50戸連たん、そして道路の幅員の問題であるとか、あるいは市街化区域から1キロメートル以内、そして4メートル以上の道路幅員で2方向への通り抜けが絶対必要であると。こういったもろもろの条件が出てまいりまして、これを実際に小田原市の現状において許認可を取るとなると大変問題がある。実情的には無理があります。
もう一つ、一番大きな理由は、優良田園住宅型制度のほうは、樹木が宅地、農地と絡んでおりますので、先ほどお話がございましたように、日本の国内事情の食糧自給率の問題が出てまいりまして、この農地法が平成23年6月に改正されました。これが極めて厳格化されて、いわゆる農地そのものをもうこれ以上減らさないようにすると。こういった制度に国そのものが変わってきたのですね。小田原市の場合は、これを条例化したのが平成19年ですから、それから時代の変遷で、今の食糧事情等もそうですけれども、国の政策が変わってきたのですね。これを今優良田園住宅型制度に当てはめてやろうとすると極めて無理があるということなのです。ですから、この制度そのものは根本的に立ち返って、4年前、5年前ですか、制度化したものをもう一度新しい条例に、小田原市に即した運営できるようなものへ引き戻していただいて、もう一度しっかりした議論を深めていただいてやっていただきたいということでございます。
◆副委員長(大川裕君) 1点お伺いします。
この件に関して小田原市のほうから、既存宅地開発許可制度廃止に伴う救済措置ということで四つほど出てきて、まず1として、変更許可の救済措置ということで、従前の許可に対する変更が可能、2に対して、貸し屋、建てかえの救済措置、従前の区画の変更が可能、3として、用途変更の救済措置、第二種低層住居専用地域に建築可能な範囲内において可能、4として、建てかえの救済措置、敷地分割した従前の建築物の建てかえは可能と出してきたわけですけれども、これについて読んだだけでは、にわかにはなかなかわからない、ではどういうふうになっているのという話なのですけれども、神奈川県宅地建物取引業協会のほうで、どういうふうにこの件に関しては理解をされているのかちょっとお伺いさせてください。
以上。
◎政策推進委員長(鈴木達之君) 全く今の質問を、我々行政のほうにぶつけたいということで、よくわからないというのが実態でございまして、そのままきょう行政の方がいらしたらどういうことなのだろうというのを聞きたいというのが実際のところでございます。
◆副委員長(大川裕君) 従前の許可とかということがたくさん書いてあるのですが、従前というのは、どこをもって従前だとかそういうところがなかなかわかりにくいところがあろうかと思うのですけれども、これからこういったことができて、ではこれで納得しようとかという考えはあるのかないのか。
◎政策推進委員長(鈴木達之君) 中身が理解ができないので、「これでOKです」というふうには本協会としては言えないということでございます。