自治体は電力事業者ではない

前回の市議会予算委員会において、「環境・エネルギーの里づくり事業費(267万円)」「太陽光発電設備借上料(今後10年間の計画で最低でも8,000万円かかる)にかかる予算案を否決した。

まず、エネルギー政策は国の所管である。仮に国の定めるエネルギー政策がおかしいと感じるのであれば、それは政策を掲げて選挙によって修正されるのが当然であるというのがまず大前提である。

また、エネルギー産業だけに限った話ではないが、自治体そのものが事業を行うべきではなく、規制緩和などの誘導によって、あくまで民間が行うべきである。自治体に限らず、中央官庁が実施した大きなプロジェクトでも失敗例は数多くある。それは専門家がおらず競争もないからで、そんな状況でうまくいくはずがないと考えるのが普通の感覚というものだ。

将来、再生エネルギーが広がりを見せるだろうが、それは税金で行うべきではなく、民間の切磋琢磨/イノベーション/収益向上によってシェアを広げていくべきだ。行政体は、あくまで民間をサポートする規制緩和なり条例制定などで支援していくべきである。

という大前提の他にも、今回の予算案には以下のような問題点が挙げられる。

(1)コストがかかりすぎる

2026年度までの計画では最低でも8,000万円がかかる。対象の学校が増えれば、さらに予算が膨らんでいくことが容易に予想できる。しかも、発電能力は10キロワットだ。
災害時の備えにもなる、ということだったがこのコストであればディーゼル発電機のほうが桁違いに安く、数十万円で可能である。

(2)屋根が傷む

屋根にものを乗せると傷む。傷まないように乗せたとしても、経年劣化で傷みは進行し、雨漏りなどを誘発しやすくなるので、メンテナンスにコストがかかる。

ただでさえ学校関係の予算は縮小されている。私が以前PTAの活動をしていた際にも、「ウチの学校は雨漏りも修理できていない」「パイプいすのシートが破けてしまっても、買い換える予算がない」などの話は枚挙にいとまがないほどあり、PTA関係者がバザー等を通じて学校の備品を補充したような状況であった。このような状況下の学校校舎に、さらに負担をかける設備を乗せるわけにはいかない。小田原市の子供達に雨漏りのない学校校舎を提供することのほうが、再生エネルギーよりも優先順位が上である。

今回、これらの問題を「原発か反原発か」といった議論とする一部の反応もあるが、原子力発電は関係がない。前述したように、そもそも原発か反原発かは市議会で決定できる問題ではない。

小田原市の予算は税金である。税金には限りがあり、優先順位をしっかりとチェックする必要がある。
今後も、行政の予算執行を監視・修正するという市議会の職責を果たしていく所存である。

コメントは利用できません。